化学メーカー研究職が語る、ユーザー面談の重要性と成功の秘訣

超重要なユーザー面談の進め方

・ユーザーとの面談って何話すの?
・大事なのはわかるけど、何を意識して話したらいいのかわからない…
・ユーザー面談で得た情報をどう活かすの?

今回は研究を進める上で非常に重要なユーザーとの面談について語っていきます。

ユーザーとの面談は研究を前に進めていくうえで非常に重要なんですよ!なぜ重要なのか、その理由についてチェックしてみてくださいね。

目次

ユーザー面談とは?その役割と意義を理解しよう

ユーザー面談とは?

ユーザー面談とは、現在開発中の製品を将来使用してくれるであろうユーザーと面談を行うことです。

ユーザーを面談を行って、ニーズを聞き出し研究開発に活かすことがその目的です。このユーザー面談は研究開発にとって非常に重要なものなのですが、その理由について考えていきましょう。

研究職におけるユーザー面談の役割は?

研究者は日々担当する開発品の性能向上のための実験を繰り返し行っています。性能にもさまざまな種類があり、全ての性能を底上げできるような改良ができれば満点ですが、実際はなかなか難しいです。

そこでいくつかの性能に焦点を当ててその向上検討を行うわけですが、もしその性能がユーザーにとってはどうでも良いものだった場合どうでしょうか?

いくら性能が向上できたとしても、残念ながらその製品の採用にはつながりません。見当違いの検討もいつかは役に立つかもしれませんが、いち早く今の開発品を製品にするという意味では無駄な時間となります。

この検討の方向性を確認し、市場のニーズに沿った検討を行うためにユーザー面談は非常に大事なのです。

ユーザー面談と社内会議の違い

ユーザー面談も社内会議も会議という意味では一緒かなと思いますよね?

ですが、その内容は結構違います。今回は”目的”、”内容”、進行方向”、”アウトプット”、”フォローアップ”について違いを見ていきましょう。

スクロールできます
ユーザー面談社内会議
目的・ユーザーニーズの聴取
・開発品のフィードバックの聴取
・プロジェクトの進行状況の共有
・今後の方針の決定
内容・ユーザーの開発状況の聴取
・開発品の満足度や改善点の確認
・需要予測の確認
・進捗報告や課題の共有
・リソースの割り当て
・計画の修正
進行方法・インタビュー形式
・必要に応じて営業や開発も参加
・ファシリテーターが進行
・アジェンダに基づく議論
アウトプット・開発品の改善提案
・関連品の紹介
・決定事項の共有
・次のステップの策定
・会議メモの作成
フォローアップ・議事録と改善案の共有
・フィードバックの分析
・次回の会議の設定
・進捗の細かな確認
ユーザー面談と社内会議の違い

以上はあくまで一例ですが、目的が大きく異なるので、必然的に会議の内容も異なりますよね。

研究職におけるユーザー面談の重要性とは?

ユーザー視点で研究開発を進めるメリット

ユーザー視点で研究開発を進めることは、製品の市場適合性を高めるためにとても重要です。

面談を通じて、ユーザーが直面する具体的な問題やニーズを理解することで、研究の方向性をより的確に設定できます。例えば、ユーザーが特定の機能に対して抱く期待や、日常的に感じる不便さを直接知ることができるため、製品や技術が市場で真に求められているものを知ることができます。

また、ユーザーのフィードバックを早めに取り入れることで、開発プロセスにおける無駄を削減し、結果として開発スピードを上げることができます。これにより、研究者はより効率的にプロジェクトを進めることができ、企業にとっても競争優位性を高めることができます。

近年は特に技術の成長が著しく、年々開発のスピードが上がっています。そのような市場の中で成果を上げるためには、技術を駆使して効率よく進める必要があります。

ユーザー視点を取り入れることで、研究の成果が最終的にユーザーの満足度向上に直結し、製品化の成功率を上げることができます。

ユーザー面談がプロジェクト成功に与える影響

ユーザー面談は、プロジェクトの成功に直接的な影響を与える重要なステップです。

面談を通じて得られたニーズは、プロジェクトの進行における意思決定を支える貴重な情報源となります。例えば、ユーザーの声を反映したプロトタイプや試作品を作成することで、開発の早い段階で問題点を発見し、修正を加えることが可能です。

また、ユーザーの意見を積極的に取り入れることで、プロジェクトメンバー全体のモチベーションも向上します。彼らが取り組んでいる課題が、実際のユーザーにとってどれほど重要であるかを理解することで、プロジェクトに対する責任感が強まります。

さらに、ユーザー面談を通じて得たフィードバックをもとに、プロジェクトの目標やアプローチを柔軟に変更できるため、最終的な製品の品質や市場適合性を高めることができます。こうしたプロセスが、プロジェクトの成功率を大きく引き上げる要因となります。

効果的なユーザー面談の準備:何を押さえるべきか?

面談前に必要な情報収集と分析

効果的なユーザー面談を行うためには、事前の情報収集と分析が欠かせません。

まず、面談対象者が属する業界や市場のトレンド、競合製品について調査することが重要です。これにより、面談時により具体的で有意義な質問をすることができます。

さらに、対象ユーザーの過去のフィードバックや製品の使用状況を把握しておくことで、彼らのニーズや期待に応じた話題を提供することができます。

また、面談の目的を明確に設定し、その目的に沿った質問リストを事前に作成しておくことも効果的です。このリストをもとに、面談の進行をスムーズにし、必要な情報を漏れなく収集することが可能です。事前の準備を怠らないことで、面談が単なる形式的なものに終わることなく、実際の研究開発に活用できる有用なニーズを把握することができます。

面談スクリプトの作成と活用法

面談スクリプトとは面談の前に予め聞きたいことなどをまとめたメモです。スクリプトの作成は、ユーザーとの面談を成功させるための重要な要素です。スクリプトは、面談の流れを円滑にし、必要な情報を確実に収集するための指針となります。

まず、面談の目的を明確にした上で、それに基づいた質問をリストアップします。質問はオープンエンド形式にすることで、ユーザーからより多くの情報を引き出せるよう工夫します。例えば、「どのようにこの製品を使用していますか?」といった質問は、ユーザーの日常的な使用状況を把握するのに役立ちます。

また、スクリプトには、面談開始時の挨拶や自己紹介、終了時の感謝の言葉なども含めておくと、全体の印象が良くなります。面談中は、スクリプトに沿いつつも、ユーザーの回答に応じて柔軟に質問を追加したり、深掘りしたりすることが重要です。

スクリプトを適切に活用することで、面談が充実したものとなり、研究開発に必要な洞察を得ることができます。

研究職におけるユーザー面談の問題とその対策

リモート面談

面談中に起こりうる課題とその解決策

ユーザー面談中に起こりうる課題は多岐にわたりますが、事前に適切な対策を講じることで、これらの課題を乗り越えることが可能です。

例えば、面談対象者が十分な情報を提供してくれない場合があります。このような時は、質問の仕方を工夫し、より具体的な例や状況を挙げて質問することで、対象者が答えやすくなります。

また、面談が進むにつれて、予定した時間を超えてしまうことも少なくありません。こうした場合には、事前に優先順位をつけた質問リストを作成し、重要な質問から順に進めるようにすることで、時間内に必要な情報を収集できます。

さらに、対象者が技術的な専門知識を持たない場合には、専門用語を避け、分かりやすい言葉で説明することが求められます。

事前の準備と柔軟な対応があれば、面談中の課題を効果的に克服し、目的に沿った有益な情報を得ることができるでしょう。

リモート面談時の注意点と成功のコツ

コロナ禍にリモート会議が普及した結果、現在でもユーザーとリモート面談することはよくあります。特に海外のユーザーとは面談しやすくなりました。

リモート面談は、対面面談とは異なる特有の問題がありますが、適切な準備とコツを押さえることで成功させることが可能です。

まず、技術的なトラブルを避けるために、事前にインターネット接続や使用するソフトウェアの動作確認を行いましょう。そんなことないだろうと思いますが、実際にはどちらかの声が聞こえないなどのトラブルで、せっかくの時間がなくなってしまうこともしばしばです。

また、面談場所は静かで、適切な照明が確保できる環境を選び、背景も清潔感のあるものにすることが望ましいです。リモートでは、対面よりも表情や仕草が伝わりにくいため、声のトーンや話すスピードに注意し、相手の理解度を確認しながら進めることが重要です。

さらに、画面共有機能を活用して、資料や実際の開発品を視覚的に示すことで、説明をより具体的にすることができます。面談後は、対面でのコミュニケーション不足を補うために、早めにフォローアップのメールを送り、次のステップを明確にすることも効果的です。

こうしたポイントを押さえることで、リモート環境下でも質の高い面談を実現できるでしょう。

ユーザー面談で得られるニーズを研究にどう活かすか?

ユーザーのフィードバックの実験計画への反映

ユーザー面談で得られたフィードバックを実験計画に反映させることは、研究の成果を最大化するための重要なステップです。

まず、面談後に得られた情報を整理し、主要なニーズを抽出します。その上で、これらのニーズが研究開発のどの段階に適用できるかを検討します。例えば、ユーザーが特定の機能に対して高い関心を示した場合、その機能を強化するための実験を計画に組み込むことが考えられます。

また、ユーザーが指摘した改善点や新たなニーズに応じて、実験の条件や変数を調整することも効果的です。このようにして、ユーザーの意見を具体的な研究アクションに変換することで、研究の方向性がより市場ニーズにマッチしたものとなり、最終的な製品の完成度を高めることができます。

ユーザーのフィードバックを無視せず、実験計画に反映させることで、研究の質と効率を向上させることができます。

面談後のデータ整理と共有プロセス

ユーザーとの面談後、得られたデータを整理し、チーム内で共有するプロセスは、次の研究段階において重要な役割を果たします。

まず、面談中に記録したメモや録音データをもとに、重要なポイントを洗い出し、要約します。この段階で、ユーザーのニーズや提案を明確にし、それらをプロジェクトの目標と照らし合わせて整理します。

次に、整理したデータをチーム全体で共有できるように文章化します。この資料には、面談の概要、主要なニーズ、提案された改良案などを含めると良いでしょう。

共有プロセスでは、プロジェクトの進行状況に応じて、各メンバーがどのようにフィードバックを活用するかを明確にします。定期的な会議を通じて、フィードバックの活用状況を確認し、必要に応じて追加の面談や調査を行うことも有効です。

このプロセスを徹底することで、ユーザーの意見を適切にプロジェクトに反映させ、研究開発を効果的に進めることができます。

まとめ:ユーザー面談で情報を集めよう

この記事ではユーザー面談とは何か、またその重要性について解説してきました。

まとめると以下の通りです。

・ユーザー面談では、相手の発言を促すインタビュー形式で行う
・開発品の評価とともに、市場動向やニーズを聞き出す
・ヒアリングした情報をもとに今後の計画を立てる
・定期的に面談を行い、ユーザーからの信頼を獲得する

ユーザー面談は、市場の流れに乗って開発品をいち早く上市するために重要な機会です。

しっかりと準備をして今後の開発を効率よく行うことができるようにしましょう!

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この記事を書いた人

旧帝大にて理学修士を取得後、大手化学メーカーに就職。
約10年研究職に携わる中で、実験だけでなく様々な業務に従事。転職活動も経験。
研究を中心とした仕事に邁進する傍ら、休日はアウトドアを中心に活動中。
意外に謎な研究職について、仕事内容などを広めるべくブログを開設。

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