企業の安全活動とは?身を守る活動の内容と重要性について解説!

企業の安全活動とは?

・企業と大学の安全対策って何か違うの?
・企業の安全に関する姿勢は何だか厳しそう…
・法律なんてあんまり考えたことなかった…

私が学生の頃(もう10年くらい前…)はあまり安全設備も十分ではなく、今となって思えば安全に対する意識はかなり低かったです。企業に入って驚いたのを覚えています。

今回は企業における安全の重要性や、研究職の安全対策などについて解説していきます!研究職には必須な活動なので最後まで読んでくださいね!

目次

企業における安全の重要性とそれを守る体制

企業が安全を重視するその理由

企業における安全対策は、単なる規制遵守だけでなく、従業員の健康と安全を確保し、企業の社会的信頼を守るための重要な取り組みです。特に研究職では、危険な化学物質や高温・高圧の装置を扱う機会が多いため、安全対策の重要性がさらに増します。

企業が安全対策を重視する理由には、法的な義務や罰則の回避だけでなく、従業員の安全な労働環境を整えることで、モチベーションや生産性を高める狙いもあります。

また、安全対策が徹底されている企業は社会的信頼を獲得しやすく、ブランド価値の向上にも寄与します。逆に大規模な事故を起こしてしまうと社会的信頼は失墜し、業績の悪化に直結します。

安全対策の実施は短期的なコストに見えるかもしれませんが、長期的には事故や労働災害による損失を未然に防ぐことができ、企業全体の持続可能な成長を支える要因となります。

企業内での安全管理体制

企業内での安全管理体制の構築は、トップダウンでの明確な指導と、現場での実践が鍵となります。

まず、経営層が安全管理の重要性を認識し、全社的なポリシーや目標を設定することが求められます。例えば企業理念や経営方針、行動憲章などに安全に関する考え方を盛り込む企業もあります。このポリシーに基づいて、各部門やチームが具体的な安全対策を策定し、日常業務に取り入れます。

組織としてレスポンシブルケア部や環境保安部といった企業全体の安全を統括する部を設置します。このような部門が定期的な安全研修やシミュレーションを通じて、従業員全員が安全管理に対する意識を高めます。

また、事故や不具合が発生した場合には、迅速に報告し、再発防止策を徹底することが求められます。安全管理体制は一度構築すれば完了するものではなく、定期的な見直しと改善を繰り返すことで、企業の安全文化を深化させることができます。

研究職が直面する安全に関する法規制と身を守る方法

研究職に関わる法規制

研究職では、化学物質の取り扱いや実験操作に関する法規制の遵守が不可欠です。規制の一例とその内容について表にまとめました。

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法規制の名称概要
学物質の審査及び製造等の
規制に関する法律(化審法)
規化学物質の製造や輸入に対して、安全性審査を行い、環境や人へのリスクを未然に防ぐための規制を行う。
労働安全衛生法労働者の安全と健康を確保するための法律で、危険物の取り扱いや機械の安全装置の使用、作業環境の改善などについて定める。
毒物及び劇物取締法毒物や劇物の取り扱い、表示、保管、廃棄について規制し、不適切な取り扱いによる危害を防止することを目的とする。
高圧ガス保安法高圧ガスの製造、貯蔵、移送、販売に関する安全基準を定め、事故の防止と公共の安全を確保することを目的とする。
消防法消防設備の設置や危険物の取り扱い、保管に関する基準を定め、火災や爆発などの災害から人命・財産を守るための法律。
廃棄物の処理及び
清掃に関する法律(廃掃法)
廃棄物の処理および清掃に関する基本的な基準を定め、不適切な廃棄物の処理による環境汚染や健康被害を防止することを目的とする。
研究活動に関わる法規制の例

聞いたことのある法規制はありましたか?普段大学で研究するときも意識はしていないかもしれませんが、このような法規制が関わっています。

法規制を理解し、遵守することは、研究の信頼性を確保し、法的トラブルを避けるための基本です。また、企業や研究機関では、これらの法規制に対応するためのガイドラインやマニュアルが整備されていますが、研究者自身がその内容を十分に理解し、日常業務に活かすことが求められます。

さらに、新しい法規制が導入された際には、速やかに対応策を講じるため、常に最新の情報を収集し、自己学習を怠らない姿勢が重要です。

身を守る保護具の役割と重要性

保護具のイメージ

研究職では、化学物質や物理的リスクから身を守るために、適切な保護具の使用が求められます。

保護具には、ゴーグル、手袋、呼吸保護具などさまざまな種類があり、扱う危険物や作業内容に応じて選択する必要があります。

例えば、強酸や強アルカリを扱う際には、耐化学薬品性の手袋が不可欠ですし、揮発性の有害物質を取り扱う場合には、適切なフィルターを備えた呼吸保護具が必要です。保護具を正しく選択することはもちろん、使用方法や保管方法についても十分な理解が求められます。保護具が汚染されたり、劣化したりしていないか定期的にチェックし、必要に応じて交換することも重要です。

また、保護具の正しい着脱手順を守り、使用後は清潔に保つことで、二次的なリスクを防ぐことができます。これらの対策を徹底することで、研究者自身の安全を守り、研究の質を維持することが可能です。

研究室での試薬管理と危険性の確認方法

研究室での試薬管理は、安全かつ効率的に研究を進めるための基本的な要素です。

まず、試薬の入手から保管、使用、廃棄に至るまで、全てのプロセスにおいて適切な管理が必要です。試薬のラベリングは、その成分や危険性を正確に示し、誤使用を防ぐために重要です。また、試薬の保管場所も、物質の特性に応じた適切な環境を選ぶことが求められます。例えば、揮発性の高い物質は換気の良い場所に保管し、温度に敏感な物質は冷蔵設備を利用する必要があります。

さらに、試薬の使用量や使用頻度を記録し、在庫管理を徹底することで、無駄な試薬の購入を防ぎ、コスト削減にもつながります。また、試薬が期限切れになった場合や使用不能になった場合には、適切に廃棄処理を行い、環境や健康に悪影響を及ぼさないようにすることも重要です。

これらの管理方法を徹底することで、研究室の安全性と効率性を高めることができます。

安全に研究を行うための必須知識

研究職向けの安全教育の重要性

研究職に従事する者にとって、安全教育は不可欠です。研究現場で遭遇する可能性のあるさまざまなリスクに対する認識を深め、それに対処するための具体的なスキルを習得することができます。

安全教育は、入社時の初期研修としてだけでなく、定期的な更新教育としても実施されます。例えば、実験器具の正しい使用方法や化学物質の取り扱いに関する基礎知識から、最新の法規制に対応するための情報まで、幅広い内容が含まれます。

また、事故が発生した場合の緊急対応や報告手順についても教育が行われ、実際の現場での対応力を高めます。安全教育を受けることで、研究者は自身の安全を確保しつつ、質の高い研究を継続することが可能となります。また、これらの教育を通じて、安全に対する意識が高まり、組織全体の安全文化の醸成にも寄与します。

事故の未然防止のための取り組み

事故を未然に防ぐためには、予防策の徹底が不可欠です。研究現場では、日常的にさまざまなリスクが存在しますが、適切な対策を講じることで、これらのリスクを大幅に軽減することができます。未然事故防止のために行われている取り組みについてまとめました。

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取り組み例詳細
ヒヤリハット事例の共有ある特定の実験場面を題材とし、その場面に潜む危険をメンバーで討議し、対策案を挙げ、行動目標に落とし込む。
他社事故事例の紹介過去に他社で起こった実験事故を紹介し、その事故が起こった原因や対策、また自社で似たような実験がないかを確認する。
リスクアセスメントの実施実験や作業の前に潜在的な危険を洗い出し、それに対する対策を事前に検討する。
作業手順書の作成定常的に行う実験や作業では、その作業手順を書き起こし、誰もが安全に同じ作業を行えるようにする。その際にはリスクアセスメントを行って出た対策を盛り込む。
事故の未然防止策の取り組み例

筆者が学生の時にはここまで行った記憶はないですね。企業に入社してからこの安全に対する意識についてはかなり向上したと思います。

ここに挙げたのはほんの一例で、他にも企業独自の取り組みが行われており、日々従業員の安全を第一に研究を行っていることがわかります。

安全な研究活動に役立つ資格

安全に関する資格もたくさんあります。職場に保有者が必ずいなければならないような資格もあります。ここではその一例を挙げます。

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資格名詳細
危険物取扱者甲種、乙種、丙種があり、危険物の取り扱いや保管に関する専門的な知識を証明する資格。
毒劇物取扱責任者毒物や劇物を取り扱うために必要な知識と技能を持つことを証明する資格。
高圧ガス製造保安責任者高圧ガスの製造や取り扱いに関する保安管理の知識を持つことを証明する資格。
消防設備士消防設備の設置や点検、整備に関する知識を持つことを証明する資格。
有機溶剤作業主任者有機溶剤を取り扱う作業現場で必要な安全管理に関する知識を証明する資格。
放射線取扱主任者放射線を取り扱うために必要な知識と技能を証明する資格で、第一種から第三種まである。
安全に関する資格例

これらの資格は会社によってはとらなければいけないものもあるでしょう。資格を取ることで取り扱う装置や資格に関する知識を習得でき、安全な実験の進行に役立ちます。

学生のうちから取得しておいても良いですが、入社してからでも十分に取得できますので、持ってなくても安心してください。ただ学生の時から安全に気を付けて実験するようにしてくださいね。

まとめ:研究成果は地道な安全活動があってこそ!

安全対策が重要

ここまで企業の安全活動の重要さやその内容について述べてきました。学生の皆さんからするとおそらくやりすぎだと思うかもしれません。が、それくらい企業にとっては安全が大事ということですね。

このような業務があるということも研究職に就く上では大事ですので是非覚えておいてくださいね。

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この記事を書いた人

旧帝大にて理学修士を取得後、大手化学メーカーに就職。
約10年研究職に携わる中で、実験だけでなく様々な業務に従事。転職活動も経験。
研究を中心とした仕事に邁進する傍ら、休日はアウトドアを中心に活動中。
意外に謎な研究職について、仕事内容などを広めるべくブログを開設。

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