・研究職の一日はどんな感じなの?
・会議とか多いのかな…
・経験を積むにつれてスケジュールはどのように変わるの?
大学生活では基本的には一日実験をすることが多いですよね。では、企業の研究職ではどのようなスケジュールで仕事を進めているのでしょうか。
同じ研究でも大学と企業では一日のスケジュールは全然違います。ここでは現役で化学メーカーの研究職として勤めているたろまるが、代表的な一日のスケジュールについて解説します!
研究職の業務内容は?
研究職といっても、一日実験をしていれば良いというわけではなく、それに付随する業務もたくさんあります。一例を挙げます。
・実験(合成だけでなく、分析やデータまとめも含む)
・安全関連対応
・進捗確認会議
・月報などの資料作成
・特許調査、作成
・ユーザー面談 等々…
実験以外の業務もそれなりにあります(笑)
以前に業務内容に関する記事を作成していますので、合わせてご確認下さい!
研究職の具体的な一日のスケジュール例3つ
それでは、たろまるがこれまでに実際に経験した具体的な一日のスケジュールを3つご紹介します!
入社1年目
まずは皆さんも初めに通るであろう、新入社員の頃のスケジュールを紹介します。
- 8:50 出社
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大体10分前くらいに出社します。始業まではデスクワーク周りの整理などを行っています。
- 9:00 – 9:30 始業~メールチェック
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一緒に働く人の一日のスケジュールを簡単に確認後、まずはメールチェックを行います。ユーザーからのメールや優先度の高いメールに対する返信を行って、タスクチェックも行います。
- 9:30 – 10:30 新規実験の内容チェック会議
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新しく行う実験は安全に行うために、どこに危険が潜んでいるかをチームで確認します。実験に使用する試薬の危険性の確認や実験操作手順を作成し、それを基にチームで話し合って、より安全な実験内容へとブラッシュアップさせます。
- 10:30 – 12:00 実験準備&合成
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実験内容の確認ができたので、いよいよ実験に進みます。まずは必要な実験装置を組んでから、実験をスタートさせます。私の専門は有機化学ですが、実験内容も有機化学だったのでここはスムーズです。
- 12:00 – 13:00 お昼休憩
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基本は食堂で先輩と一緒にご飯を食べます。そのあとはニュースをみたり寝たり思い思いのことをしています。
- 13:00 – 14:00 論文調査
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反応を回している間に論文を確認します。合成する化合物の使用先は別の分野なので、そちらの分野に関する勉強を行います。
- 14:00 – 16:30 実験片付け&分析
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反応が終了したら後処理と実験器具の片付け、必要な分析を行います。
- 16:30 – 17:30 分析データの集約とまとめ作成
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今日の実験結果のまとめを簡単に作成します。
- 17:30 – 18:00 先輩への結果共有と議論
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実験結果を先輩に報告し、結果の妥当性や次の実験に関するディスカッションを行います。
- 18:00 帰宅
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デスク周りを片付けて帰宅します。1年目の間はあまり残業はありませんでした。
たろまるの勤める化学メーカーは、いわゆるBtoCのような一般消費者が直接使うものを製造するのではなく、一般消費者が使う製品の材料の一部となる化合物を作るような会社です。
合成する化合物の使用先が専門外の分野でしたので、その分野の勉強をするのに苦労しました。ユーザーと面談する際は、ユーザーの求めていることを理解することがとても重要なので、できるだけ早く習得できるように勉強時間の確保を優先しました。
先輩の専門は無機化学だったので、違う分野の視点から物事を考えていくのは楽しかったですね。
入社5年目
途中で担当するテーマが変更になったのですが、新しい先輩の下で実験しつつ、後輩の面倒も見るという形で業務を行っていました。
- 8:30 出社
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新入社員の時よりも早めに出社しています。することが増えてきたので始業前に論文調査などをするようにしました。
- 9:00 – 9:30 始業~メールチェック
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チームのスケジュールを確認後、ここは相変わらずメールチェックです。
- 9:30 – 10:00 後輩の実験フォロー
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後輩が行う実験のフォローを行います。メインは安全対策ができているかを確認し、合わせて実験目的を正確に把握できているかなども確認します。
- 10:00 – 12:00 自分の実験準備と反応
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後輩の実験が無事にスタートしたら、次は自分の実験です。安全に注意を配りながら、早く始められるように進めます。
- 12:00 – 13:00 お昼休憩
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先輩と後輩と一緒にご飯です。休みの日の過ごし方などたわいもない話をしてました!
- 13:00 – 15:00 進捗確認会議
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自分のテーマの進捗について上司などに説明する会議です。実際に実験を担当しているものとして、データなどを紹介します。スケジュールの確認や今後の実験内容に関する議論がメインです。
- 15:00 – 16:00 資料作成
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別の会議のための資料を作成します。
- 16:00 – 17:30 実験の処理
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自分の実験の後処理と分析を行います。後片付けは時間がないので翌日にします。
- 17:30 – 18:00 後輩の実験結果の確認と議論
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後輩の実験結果を確認します。進捗会議の結論を踏まえて次の実験計画について議論します。
- 18:00 – 19:00 自分の実験結果のまとめ
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自分の実験結果をまとめて、必要に応じて上司や先輩とディスカッションを行います。後輩の結果も踏まえて、次の計画を立てます。
- 19:00 帰宅
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デスク周りを片付けて帰宅します。残業時間は月平均だと一日1時間ない位です。
後輩の指導も加わり、自分の実験時間が減った分、残業でカバーしていました。それでもたくさん残業しているわけではありませんでした。
入社9年目
このころになると、とあるテーマのリーダーを任せてもらいました。新入社員を含む後輩3人をまとめて、テーマを進めるための調整役として動いていました。
- 8:30 出社
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出社時間はあまり変わりません。この時間でスケジュールを確認しながら今日後輩たちが行う実験の危険性や予定を確認しています。あとは論文調査ですね。
- 9:00 – 10:30 始業~開発品の規格に関する打ち合わせ
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全員で今日の予定を確認した後は、開発品の規格に関する打ち合わせです。例えば純度や不純物の目標をどうやって設定するのかを決めていきます。
- 10:30 – 11:00 後輩の実験の確認と雑談
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後輩の実験で困ってることがないかを確認しつつ、軽く雑談もします。
- 11:00 – 12:00 特許に関する打ち合わせ
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今扱っている開発品の特許出願に関する打ち合わせです。どのような請求項にするか、競合他社の特許などを確認しながら詰めていきます。
- 12:00 – 13:00 お昼休憩
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後輩と食べることが多いですが、会議が長引いたりデスクワークのきりが悪いときにはひとりで食べることもあります。
- 13:00 – 15:00 ユーザーとの面談
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開発品を評価いただいているユーザーとの面談です。結果をフィードバックいただける貴重な機会なので気合を入れて挑みます。
- 15:00 – 15:30 議事録作成
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面談を受けて忘れないうちに議事録の作成と今後の実験計画を作ります。
- 15:30 – 16:00 後輩の実験の確認
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ちょっとだけ時間があるので、また後輩の実験の確認に向かいます。自分がなかなか実験できないので、人のを見て自分が実験をした気になります(笑)
- 16:00 – 17:00 原料に関する打ち合わせ
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生産で使用する原料の入手先や価格、規格などの情報を共有化し、今後実験に使って確認するものを決めていきます。この打ち合わせはあまり発言することがありません。
- 17:00 – 18:00 後輩の実験結果の確認
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今日の結果を聞いて回ります。後輩も増えたので昔ほどじっくりと議論する時間はありません。その時間は別途打ち合わせなどで時間を取ります。
- 18:00 – 19:30 資料作成
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今日の打ち合わせの結論などから、今後の実験計画やスケジュールを更新します。また後日ある打ち合わせ資料を実験結果を元にまとめていきます。
- 19:30 帰宅
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デスク周りを片付けて帰宅します。この時期の残業時間は月に30時間くらいでした。
まとめ|経験が増えるにつれて業務の範囲が広がる!
いかがでしたか?
経験が多くなるにつれて実験の時間が減って、打ち合わせや資料作成などのデスクワークが多くなっていますね。
これは仕方がないことで、経験を積むことで任せられる範囲が増えていき、見る範囲も増えていくからですね。
個人的にはもう少し実験をしたいのですが、それは後輩に任せてテーマを先に進めるための仕事をしていきます。
ちなみに、研究職なので実験を続けたいという方もいると思いますし、それはある程度は可能です。ご自身の希望を面談などで上司に伝えると同時に、自分の裁量の中でできるだけ実験を続ける努力をしましょう。
以上、研究職の仕事のスケジュールについてでした!
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