・化学メーカーの研究職にはどんな学位を持った人がいるの?割合は?
・専攻分野は影響するのかなぁ…
・学歴フィルターって本当にあるのかな?
就活を行う際に気になる点の一つは学歴についてですよね。就活にどのような影響があるのか、また就職してからはどうなのかについて見ていきましょう。
化学メーカーではいろいろな学歴の人がいますが、研究職に就いてはどうなのでしょうか?ここでは現役で化学メーカーの研究職として勤めているたろまるが、一般的な研究職の学歴事情について解説します!
研究職に求められる学位とは?
研究開発者の採用を行った企業割合
まずは、企業がどのような学位を持つ人の採用を行っているかを見てみましょう。
研究開発職を採用した企業では、学位号または修士号を持つ人が多く採用されている、つまり採用活動のターゲットとされていることがわかります。博士課程修了者(博士号を持つ人)の割合は少ないですが、大手企業になるほど積極的に採用されているイメージがあります。
またこの調査では記載されていませんでしたが、工業高校専攻科を卒業した方も少数ながら採用されています。
たろまるのこれまでの経験の中での感覚では、修士号を持つ人が94%、博士号が4%、学士号を持つ人が1%、工業高校専攻科を卒業した人が1%程度です。
修士号が一般的に求められる理由
なぜ、修士号が最も求められているのでしょうか。
その理由は、修士課程で得られる専門的な知識と研究スキルが、実際の業務に直結するためです。特に、研究テーマを深掘りして解決策を模索する能力や、実験計画を立てるスキルは修士課程で磨かれることが多いです。また、修士号を取得することで、研究者としての基盤が整い、プロジェクトの中心メンバーとして活躍しやすくなります。
それでは次に、なぜ博士号ではないのでしょうか。
理由は2つあると思います。1つは博士号を持つ人が少ないこと。博士号を持つ人の絶対数が少ないため、必然的に採用競争率も高くなるため採用しにくいことがあると考えられます。
もう1つは企業への貢献年数の違いです。一般的に定年退職までの在籍年数は博士号を持つ人の方が3年少ないです。30年以上の社会人生活の中でたった3年と思うかもしれませんが、教育コストから考えると大きな差です。対教育コストを考慮すると修士号を持つ人の方が良いかもしれません。
博士号が求められる場面とそのメリット
それでもなぜ博士号を持つ人が求められるのでしょうか。
博士号は、高度な専門知識や独自の研究能力を証明する学位です。化学メーカーでは、新技術の開発や革新的な研究に携わるポジションで即戦力として求められていることが多いです。博士号を持つことで、研究リーダーとしてプロジェクトを主導したり、学術的な議論で優位性を持つことができます。また、給与やポジションの初期設定で有利になる場合もあります。
一方で、日本ではこれまで博士号がそれまで重要視されてきていませんでした。ですが、近年はその状況も変化してきていることを感じます。AIも登場し製品の開発速度がこれまで以上に早くなる中で、より高度で専門的な知識を持つ博士号の重要性が見直されています。最近は入社時の待遇も改善されつつあり、博士号を持つ人の一般企業への就職も増えてきており、今後も増えることが予想されます。
修士、博士号以外の学歴は?
工業高校の専攻科や学士号を持つ人でも、化学メーカーで活躍するチャンスはあります。工業高校の専攻科を卒業した場合、実践的なスキルや技術力を評価され、製造現場や品質管理、設備保全といった分野での活躍が期待されます。
一方、学士号を持つ人は、サポート的な役割やプロセス開発などに従事するケースが多いです。どちらの場合も、実務経験や特定のスキルをアピールすることで、さらに専門性の高いポジションに挑戦することも可能です。
専攻分野は影響する?
化学以外の専攻でも研究職は可能か?
化学メーカーの研究職といえば、化学専攻が有利に思えますが、物理学、生物学、材料工学などの他分野でも十分にチャンスはあります(というか平等です)。最近では化学メーカーも事業領域の拡大を目指し、新たな領域に挑戦する企業が増えています。ナノテクノロジーやバイオマテリアルなど、分野横断的な研究テーマでは多様なバックグラウンドが集まることによるイノベーションが期待されています。
ただし、化学メーカーなので根本にあるものは”化学”です。学生の時に深くは学んでいなかったとしても、自分なりに化学の知識を補う努力や、業務に必要なスキルを身につけることは忘れないでください。
専攻分野が研究テーマに与える影響
専攻分野は、研究テーマの選択肢に直接影響を与えます。例えば、有機化学専攻の場合は新素材や医薬品の開発、物理化学専攻の場合はプロセス開発や触媒研究に携わることが多いです。
ただし、必ず大学の時の専攻分野と同じテーマになるとは限りません。会社の方針にもよりますが、若いうちに幅広い知見を得るために大学の時の専攻分野とは異なるテーマに関わらせることも十分にあります。自分の専攻分野を活かせるポジションを選ぶことで、得意分野を最大限に活かしたキャリアを築くことができます。
分野外からの転職・異分野融合の可能性
分野外から化学メーカーに転職するケースも増えています。
最近ではAIやデータ解析のスキルを持つ人材の採用が著しく増えています。化学反応のシミュレーションや材料開発に活用され、開発速度の促進が期待されています。これまでとは異なる分野の知識を融合させることで、新しい研究視点を提供し、企業の競争力を高める役割が期待されています。
学歴フィルターは存在する?
断言はできませんが、たろまるは学歴フィルターは存在すると思っています。特に大手の化学メーカーは採用試験での応募総数も非常に多くなるため、企業独自の判断基準があると考える方が良いでしょう。
大学名や研究室の知名度が与える影響
大学名や研究室の知名度は、採用初期段階で一定の影響を持つ場合があります。特に有名大学や企業と共同研究を行っている研究室出身者は、即戦力として期待されることが多いです。ただし、実際の採用では、学歴だけでなくスキルや経験も重要視されるため、学歴ではなく、研究への取り組み姿勢や考え方などをアピールすることが重要です。
学歴フィルターはどの段階で適用される?
学歴フィルターが適用されるのは、応募者が多数の場合に限られることが一般的です。書類選考の段階で使われることが多いですが、それ以降の面接では学歴は関係なく面接の評価が重視されます。学歴フィルターが存在する場合でも、それを補う強みをアピールすることで突破できるケースも多々あります。
企業によってどの段階でどのようなフィルターがあるかはわからないので、あまり考えすぎずに興味のある企業へはどんどんチャレンジしていきましょう!
入社後に学歴が与える影響
初任給や昇進における学歴の影響
化学メーカーでは、一般的に修士号や博士号を持つ人は、学士号やそれ以下の学歴を持つ人に比べて高い初任給が設定されることが多いです。また、昇進の際にも学歴が評価基準の一部として考慮されることがあります。ただし、実務経験や成果が昇進に大きく影響するため、学歴だけが決定的な要素ではありません。
役職やプロジェクトリーダーへの影響
高い学歴を持つことで、より高度な役職やプロジェクトリーダーのポジションを任される可能性が高まります。特に、博士号を持つ研究者は、専門知識を活かして新技術の開発や戦略的な研究をリードすることが期待されます。ただし、リーダーシップやコミュニケーション能力など学歴とは関係のない能力も重要であり、学歴だけで役職が決まることはありません。
まとめ
以上、化学メーカーの研究職に必要な学歴についてまとめましょう。
・修士号や博士号が求められるケースが多いが、工業高校の専攻科や学士号でも活躍の場はある
・化学メーカーの研究職では、学歴が重要な要素である一方で、実務経験やスキルも評価される重要なポイント
・選考時の学歴フィルターの存在は否定できないが、企業によって異なるため、深く考えすぎずに追い求めることが重要
・入社後の昇進や役職においても学歴が影響する可能性があるが、最終的には成果やリーダーシップなどの能力が重視される
化学メーカーの研究職では、研究という特殊な業務形態の特性上、修士号以上の学歴が求められることが多いです。ただ入社した後はほとんど関係なく、その後の成果や普段の姿勢、研究以外の能力が重要になってくるので、入社後は自己研鑽を怠らないようにしましょう。
コメント